たてただけ

三日坊主にすらなれない

私的ランキング2018・映画編

 映画の感想はそれこそマジで収拾がつかなくなるので、20位から紹介。

 あと文章はだいたいFilmarksからコピペしてきたやつな。

 

20.パシフィック・リム アップライジン

 僕は好きでーーーーーす!!!!

 まずパシリムをまた見れるという時点で5億点ですから。

 「前作から数年後の世界を描くけどロボットどーーーん!!!!怪獣?まあいい塩梅に」

 ボイエガ扮するジェイク自身がティーンの訓練パイロットの教官という役回りなだけあって、対象年齢が少し引き下げられた感はあるが、それでも誰もが持つ「少年の心」にダイレクトに響くシーンの連続にやられる。

 無論前作のデルトロ流とはまた違う、デナイト監督なりのフェチってものは感じる。エヴァ寄りな感じのやつ。

 それでもこれもまた「少年の心」を持った大人が作り上げた立派な「パシフィック・リム」。最高。

 

19.ヴェノム

最近のMCUの説教臭さに辟易しかけてたので、「正義の定義があーだこーだ?知るかそんなんそれよりこれ食える?」ってスタンスが最高でした!!!!

 「記者のエディが裏がヤバそうな企業を探ってたらシンビオートと出会って5秒で合体」

 序盤のダイナー会話シーンとかで、ミシェル側とトムハ側の2種のアングルのカットを話し手が変わる毎に右往左往しまくっていた演出は余りにも鬱陶しかったが、それさえ越えてヴェノムたんと出逢ってからはノンストップのジェットコースター。ヴェノムたんがめっちゃボキャセンス豊富なのはエディ譲りなのか?「なんでもは知らないわ、あなたの知ってることだけ。」的な。

 説教垂れることなく食う。完全なる勧善、いや勧悪懲悪。あと行動を変える際の理由が「気が変わった」っていう至極シンプルなのも気持ちいい。このくらいの軽いアメコミ映画もあっていいですよね?

 

18.search / サーチ

 伏線のキマり方と意外性、そして斬新さに関して言えば間違いなく今年ベスト。

 「よーし、行方知らずとなった娘をパパPC使って探しちゃうぞ!」

 向こうのティーンが使ってそうなSNSの選び方とか、アクティブのつき方とか、ネットの嫌な部分とか、そういう部分の線引きやあるあるが、ティーンが薄っぺらいなーとは思わないレベルでライトすぎず、そしてSNSは名前だけ知ってる…な世代にもそれなりに分かるレベルでディープすぎずで絶妙。思えば筋や人の行動は伝統的、だけど見てくれは最先端。

 まさしく新たな時代に生まれた新たな時代の映画。

 

17.孤狼の血

 バディムービーかつヒーロービギンズ。

 「おっさん刑事に振り回されるヤング刑事とヤクザと女」

 演者も場所も小道具も、全てのルックが最高にカッコいい。脚本もベタかつ外しつつでいて進行スムーズで絶妙。シンゴジに出てたおっさん達も軒並み出てくるので邦画の力の結集という意味でもイイ。名前が覚えづらいのが難点だがまあ人が多いのでしょうがない。

 最後のシーンを観て松坂桃李に惚れない男はいない。最高。

 

16.犬ヶ島

 徹頭徹尾ウェス・アンダーソンのクセがすごい「日本」。

 「子供と犬が真っ黒な権力に楯突く」

 僭越ながら「KUBO」と比較してしまうと、負の部分まで皮肉って描いてくれているところに逆に好感持てる。

 寿司のシーンの美しさと手間かかってんな〜っぷりはマジで頭おかしいレベルまで昇華されている。でも元から話されてるなんか変な感じで、でも確かに言っていそうなないまぜな感じの日本語とかもかなりツボ。

 吹替で見ないと頭パンクすると思う。とまっちゃんはすぐ分かる声してんなあ。

 

15.ウインド・リバー

 あらゆる理由で極限の土地に住んでいる人々の「人生の選択」を容赦無く提示する。

 「ホークアイの住む陸の孤島にワンダがやってくる」

 辺り一面雪の荒野で「法が機能しきってない土地」、そこにやってきた土地のルールを知らない女性、主に彼女に関わるのがその土地の勝手知ったる2人の男性、ということで観賞前の予想以上に「ボーダーライン」を彷彿。

 ただ空撮の使い方は真上からゆっくりのっぺり撮るヴィルヌーヴと違って少々斜めにハキハキ撮る感じで、明らかな違いを見せた。まあここはヴィルヌーヴが普通じゃないということなんだろうけど。

今作も「ボーダーライン」と同様、予想をさせない展開で観客をどんどんと闇の中に引きずりこむ。特にある驚くべき演出からの展開、ここは紛うことなく「監督」としてのシェリダンの力が発揮されていた。

 そしてジェレミー・レナーの圧倒的漢っぷり…!ホークアイの時とは違って常に落ち着いてる雰囲気で物語をグイグイ引っ張ってくれる。でもやるときはやる父親なのは変わらない。

 ジョン・バーンサルが出てきた瞬間にはやっぱり空気が変わる、画になる俳優ですわ。

「ボーダーライン」が合ってた人は観ないという「選択」は出来ないんじゃなかろうか。

 

うわめっちゃ良く書けてるなこの感想…

 

14.シェイプ・オブ・ウォーター

 あまりにも純粋で美しい愛の物語。これを「歪だ」なんてとてもじゃないけど言えない。

 「大アマゾンの半魚人が捕まってアメリカに来た」

 ずっと水中に漂っているような不思議な感覚だった。まあオープニングからそうだもんね。

 イライザがとてもキュート、あのタップで心摑まされた。

 マイケルシャノンおじさんもオクタヴィア姉さんもさすがのキャラ立ちだったわあ。

 こんな素敵な作品を届けてくれてありがとうデルトロ監督。そしておめでとう。

 

13.アベンジャーズ インフィニティ・ウォー

 幸運なことにジャパンプレミアに当選し、国内で最初に観ることが出来た。

 「石を取ったり取られなかったり」

 第1作から2倍にも3倍にも膨れ上がったヒーロー大集合映画をしっかりやり切りながら、あの終わり方をやってのけるというルッソ兄弟様々としか言いようがない。

 

12.デッドプール2

 最強で最高のファミリー映画。

 「サイキックボーイをふざけた奴が守る」

 予算増に加えてデヴィッド・リーチ監督力でアクションが質も量もパワーアップしたし、FOXの力もあってかメタネタもさらに大量投下で終始笑いっぱなし。でもやる時はやってくれるのがデップーちゃん。

 MCUに対抗できるのはこんな型破りなヤツらなのかもしれない。

 …ハーイユキオ♪

 

11.若おかみは小学生!

 これはもう、老若男女問わず誰でも楽しめて、そして感動できる文句なしの傑作と断言できる。

 「古旅館の少女がおもてなし」

 誰もに心の拠り所を用意しつつ、おっこの成長を美しい季節感とともに綴った高坂監督と名脚本家・吉田玲子さん。

吉田さんはもう今年の活躍で「この人の脚本は間違いない」と断言できる地位を確立したと思う。

タレント声優は批判されがちだけど、情報を入れずに観ると意外と大丈夫ってことに気付いた。本職と比べたらさすがに劣るが、設楽さんの設楽さんっぽい少し気楽な感じのオッチャンや、ホラン千秋さんの姉ちゃんな感じはしっくりきた(ただグローリーさんは伊藤静さんやってたらピンズドのピンズドだったはず)。

それでも一番大事な役は山ちゃんに任せてるのがまたニクい。

マツキちゃんがホモデウスを読んでたのには笑いました。ってか主題歌の編曲mabanuaさんじゃん、あんた素晴らしい作品に関わりすぎだよ最高か。

とにもかくにも、めちゃくちゃ本気の座組がしっかりと組まれた作品。そういう本気の姿勢によって、すべからくして全ての人の琴線にこの作品が触れたということなのだろう。

座組の話ばかりになってしまったので内容に触れると、ただおっこが成長するだけじゃなくて、旅館に訪れた3組とも、それぞれがなにかこの場所でヒントを得て、そして日常に帰る「理由」を見つけるんですよね。ある意味で現世と黄泉との中間地点のような。それがこの物語をより深くしてくれていて、同時に老若男女に刺さるようになっている理由のひとつかなあと。

 辛い現実も、眩いほどの羨望も、そして儚い幸せの芽も。

 その全てを包み込む「優しさ」が、あの場所に、この映画にはある。

 

いやーいいこと書くなあ…

 

10.悪女

 めちゃくちゃなアクションとめちゃくちゃな時系列で殴りかかってくる超絶ハードコア映画。

 「スーパーエージェント女子は普通の生活をしたい!」

 時系列と関係性はなんとなく分かってりゃ大丈夫で、とにかくこの映画は「87/Elevenからスタイリッシュさを引いてゴチャゴチャ感を足した物量と濃度」で殴りかかってくる圧倒的アクションにひれ伏せ。

 ひれ伏せ。

 

9.カメラを止めるな!

 ジュラワくらいしかなかった夏の映画の主役の座に突如として躍り出たダークホース。

 「「ゾンビ映画を撮る!」のを撮る」のを見る。

 小規模作品にありがちな「ここはご愛嬌かなあ^^」がないのが純粋にすごい。その点は例え素晴らしい脚本や伏線回収だとしてもどうしようもないわけで。

 上田監督だけでない、全ての人の努力によって勝ち取った「奇跡」なのだろうと思います。

 

8.The Guilty ギルティ

 来年2月公開作品なんですが、試写会で百足くらい先に観ることが出来ました。

 その試写会が「スニークプレビュー」という何を観せられるか全く分からない状態で、そうして観たのがこの映画。最初「警察?ロシアっぽいな、いやデンマークか…」と行った感じで探り探りでどういう作品か把握しようとしてました。なかなか楽しかったので今後もやってほしい。

 「電話越しに聞こえる音とPCからの情報だけで事件を解決しちゃうぞ!」

 アスガーとオペレータールーム以外が何も可視化されないというシチュ。でも確かにヘッドセットの向こう側の景色が頭の中に浮かぶ。そうやってこの映画は、これ以上ないレベルで観客の想像力を膨らまさせてくれる。

 音だけを頼りにせねばならない緊迫感と、オペレータールームの少々をフルに活かした演出。

 携帯ガッツリ繋がるサスペンスは確かに新鮮だし、そしてその一発ネタだけでない脚本の妙にやられた。

 全ての「音」を絶対に聴き逃すな。

 

7.RAW 少女のめざめ

 今年最初にガツンと食らった映画。

 「ベジタリアンな私が寮で肉を食べさせられた結果wwwwww」

 ジャンル映画として構えていた観客全員の度肝を抜く、少女が未知との遭遇をへて「めざめ」を迎える繊細な成長譚と、観客もろとも未知へと誘おうとバシッとキメてくる伏線回収。はい、痺れました。

 そしてとにかく主演ギャランス・マリリエちゃんの圧倒的すぎた演技の幅。ウブな少女から吹っ切れた姿まで。今後もチェック必須。

 最後に「うまい!」と心から思える映画が大好きなんだろうと思った次第。グロ大丈夫なら敬遠せずに観に行ってください。

 ルームメイトのアドリアンがサッカーしてるシーンはベンゼマにしか見えなかった。

 

6.アンダー・ザ・シルバーレイク

 まさにデヴィッド・リンチ的悪夢。大好物。

 「LAには不思議がいっぱい!」

 意味があるようで、ない。意味がないようで、やっぱりない…と思ったらある!?いや、やっぱりないか…ん?

 未だになにも飲み込めていないが、怪作であることは間違いない。

 たぶんもう1回見ても飲み込めない。

 

5.クリード 炎の宿敵

 すまん、これも試写会で先に観ちまったよ……

 これはもう、正しく「約束された傑作」を生み出すシリーズになったと言っていいんじゃないか。

 「仇討ち」

 前作以上にアドニスが「背負う者」になり、それによる失うことへの恐怖との格闘と、翻って背負っているからこそ突き動かされる理由がアツい。

 そしてニクいところは、ヴィクターもまた「背負う者」であるわけで、なおかつ前作のアドニスの境遇とも似通った部分があるということ。

 互いの「戦う理由」の追求、そして「新たな時代」を作ろうという覚悟が、拳の力を強くする。

 中盤にあった、「これは明らかに流れ変わるぞ」と思ってしまった象徴的なシーンからは、もうアドニスの決意に身を任せるのみ。

そしてそんなアドニスの心を打つロッキーの重い言葉…

 ゴングが鳴ったら最後、魂のぶつかり合いに燃えずにはいられない。

 

4.ボヘミアン・ラプソディ

 果たしてこの映画を理屈で語れる人がどれだけいるのだろうか。Queenというバンドに思い入れのある人がこの世にはあまりにも多すぎるし、そしてこの映画はもはや思い入れの大小、そして有無をも超えて誰もをエモーショナルへと誘う。

 「ブライアン先生…!!バンドがしたいです…!!」

 ラミ・マレックが似すぎてて完全に生き写し。オスカーいい所まで行ってほしいなあ。他のメンバーもすげー似てた。

 ライヴ・エイドのシーンは再現度も没入感も凄まじく、まさしく「圧巻」の一言。他のシーンも素晴らしいが、これだけでお釣りが来ると思う。

 戻ってこない人を天国から呼び戻したり、時計の針を過去に戻したり。

 そんな不可能を可能にしてみせるのが映画なのだと、この映画は高らかに宣言してくれた。

 あのスクリーンの中で、フレディ・マーキュリーは確かに生きている。

 

3.教誨師

 大杉漣さんの遺作ということを抜きにしても素晴らしい作品。

  「死に最も近い者達との会話」

 凄まじい熱量で繰り広げられる、魂と魂の一対一の対話劇。死刑囚たちはまさに十人十色で、ほっこりさせられるような会話もあれば、背筋を伸ばさせられるような一言もあり。ただ間違いないのは、一人ひとりが絶望の中に舞い降りた大杉漣さん演じる教誨師の佐伯に感情を吐露しているということ。それを佐伯は全力で受け容れる。それもただ全肯定するわけでもなく、しっかりといち人間として。質素な一室という非常に地味な画だからこそ、この魂と魂の対話が我々に深く刻まれる。

 途中に佐伯が彼自身のことを語ることがあるんだけど、その時にサッカーの話題があって、嫌でも漣さん本人にシンクロしてしまう。まるで自身の人生を振り返るかのようで。

 出演者は全員素晴らしかったけど、高宮役の玉置玲央さんの「厨二妄想をガチでやっちゃったやべーやつ」感は特に凄すぎて怖かった。あの「はい墓穴きましたーwww」と言いたげなニヤニヤの憎らしさときたら。小川さんはまさかの普段は会社員やってる方という。無論全く違和感はなく。過去に少し演技経験があったそうだけど、漣さんや佐向監督はじめ周りの方のサポートも感じられる。

 最後に佐伯が気付いた「あること」は、キリスト教オンチな自分でも知ってた聖書のエピソードも重なって鳥肌。

 とにもかくにも大杉漣さんの渾身の演技を目に焼き付けてくれ。

 

2.テルマ

 本当に面白くて、本当に尊い

 「この胸のドキドキは、もしかして…てんかん!?」

少女の「めざめ」を描くという意味では、7位の「RAW」と似たところがあるのだが、「RAW」はより大胆かつ暴力的に、「テルマ」は繊細かつ神秘的に「めざめ」が描かれている。自分はこの神秘性により惹かれた。

 「北欧の田舎」というロケーションもあり画も非常に美しい。伏線もまたお見事。

 でもこの作品はね…とにっっっっっっっっっかくテルマちゃんが尊いわけです!!!!!!!!

f:id:gnsp:20181231164750j:image

ねもうす。

 

1.ボーダーライン ソルジャーズ・デイ

f:id:gnsp:20181231164911j:image

 クッソ可愛い娘からクッソしぶいおっさんたちとかいう絵面の変わりっぷり!!!

 ということで今年はおっさん映画が1位です。

 「カルテルぶっ壊したろ!」

 いやー面白すぎた。シェリダン脚本外れなしを再確認。ここまで「常に一定の緊張感を観客に与え続ける」映画もないと思う。自然に集中できる。

 2時間と思えぬボリュームと展開と満足感。ソッリマ監督超優秀だ。ヴィルヌーヴほどの画の拘りはさほど感じなかったけど、その分乾いた画をしっかりと見せてくれた。なによりシェリダン脚本を活かす仕事をきっちり遂行したのがお手柄。この作品は脚本のおいしさをそのまま提供すれば最高品質になるってこと。ともかく公開前の不安は蹴飛ばしてみせた。

 決定的な画を無音でじんわり見せてくるので、緊張感が半端ない。

 運命の交錯と離散と交錯、粗末にされる命、そして過酷すぎる「リアル」。この現実世界とも共通する「リアル」は本筋に絡むのとそうでないのがあるんだが、絡まない方の煉獄感がもうすごい。それをスラッと流して、さも当たり前かのように過ぎてしまう恐ろしさ。

 ベニチオとジョシュ・ブローリンの格好良さは皆まで言うな。

 ラストの展開まで目を離させないのがもうたまらない。

 今年も様々な「続編」が公開されたけど、この作品ほど前作の面白さや観たいものをしっかりと受け継ぎながら、新たな展開を観客に違和感なく受け入れさせた作品はないと思う。

 シェリダン曰く3部作ということで、次がどうなるのか、今から期待と不安が入り混じります。

 

 

1.ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ

2.テルマ

3.教誨師

4.ボヘミアン・ラプソディ

5.クリード 炎の宿敵

6.アンダー・ザ・シルバーレイク

7.RAW 少女のめざめ

8.The Guilty ギルティ

9.カメラを止めるな!

10.悪女

11.若おかみは小学生!

12.デッドプール2

13.アベンジャーズ インフィニティウォー

14.シェイプ・オブ・ウォーター

15.ウインド・リバー

16.犬ヶ島

17.孤狼の血

18.サーチ

19.ヴェノム

20.パシフィック・リム アップライジン

 

良いお年を。